米国のスーパーボウル中継と言えばトップ企業が多大な予算をかけて印象に残るCMを作るので有名です。各企業のクリエイティビティの見せ所です。
歴史的な成功例としては、アップルによるジョージオーウェルの「1984」をベースにして企業コンピューティングの世界からユーザーを自由にするイメージを訴えたマッキントッシュの広告があります。失敗例としては、一昨年のGrouponのCMなどがあります(参考記事)。
私はスーパーボウル自体には全然興味がないですが、IT系の企業がどういうCMを出すのかには結構興味があります。
今年のサムスンの広告の予告編(本番で流すのとは別バージョン)がYouTubeにアップされています(参考記事)。権利関係にうるさい弁護士とCMプランナーの会議で、プランナーが商標ぽい言葉を口にするたびに弁護士が「訴えられますよ」と遮るという作りです。そして、San Francisco Forty-Niner’s をSan Francisco Fifty-minus-Oners等と言い換える羽目になるというギャグです。当然ですが、アップルに対する皮肉ととらえるべきでしょう。
キャプションがないのでちょっとヒアリングが厳しいですが、米国人の間では概ね好評のようです。
ネタにマジレスするのも何ですが、商標権とは商品に使う名前を独占できる権利なので、普通にその言葉を使うことが禁止されるわけではありません。アップルが商標的使用でないケースにまで商標権を行使してきたようなケースがあれば、アップルに対する当てこすりになるのですが、(少なくとも私の知る限り)そういうケースもそれに近いケースもないので、これで皮肉になるのかなあという気がします。
アップルに対する皮肉にするのならば、一般化した用語に対して商標権を主張するケース(Amazonに対するApp Storeの話(参考))や誰でも思いつきそうなデザインに対して意匠権を主張するケースなどを誇張しておもしろおかしく描いた方がよいと思うのですが、まあそこまでやるとやり過ぎ(裁判に影響も出かねない)ということなのかもしれません。
ひょとすると本番のCMではもっと強力なネタが用意されているのかもしれません(追記:本編はAppleも知財も関係ないネタだったようです(参考記事))。まあ、いずれにせよネタにマジレスの雑談です。
リンゴのマークを使っているスーパーに対して、ロゴの使用と取りやめるよう文句を付けた事例はありますね、Appleは。
http://www.zdnet.com/woolies-apple-logo-dispute-drags-on-1339300867/