あえて言うまでもないですが、iPhoneを使い始めて思うのは、やはりAppleのUI設計技術はすごいなということです。狭い画面と原則指でのタッチによる操作という厳しい条件で、あれだけの快適なエクスペリエンスを作り出してしまうのはすごいです。iPhone流UIに慣れてしまうとついつい普通のパソコンで地図を表示している時も画面をフリックしたくなってしまうほどです。
iPhoneに限らず、一般に、狭い画面上でスタイラスを使わずに指で操作するUIの課題のひとつは指の先で画面が隠されてしまい細かい操作がやりにくくなるということでしょう。iPhoneの英字キーボードで入力をすると吹き出しのようにちょっと指と離れた場所に文字が表示されるのは、この問題を解決する上でなかなかナイスなアイデアです。
しかし、iPhoneよりさらに画面が小さい機器が登場した時には現状の方式のUIにも限界が来るでしょう。解決策のひとつとしてスタイラスを使うことがありますが、さすがにAppleはその方向性は取らないでしょう(私も勘弁です)。
macnnというApple関連の情報サイトのブログで知りましたが、Appleの特許出願文書では、この課題に対するAppleの解決策、そしてひょっとするとnano-phoneのUIの基盤となるかもしれないアイデアが紹介されています。なぜか、ブログ中では特許文献の名称が記載されていませんが、”Back-Side Interface for Hand-Held Devices”(US 2007/0103454 A1)がこれに相当するようです(Google Patentの該当ページ)。
この発明のポイントは機器の裏面をタッチセンシティブにするということです。指で機器の背面をタッチすることにより、その場所に相当する表側の画面にカーソルが表示し、操作を行なうことができます。イメージ的には裏側から磁石を操作すると表側で金属製のカーソルを移動するという感じでしょうか。これにより、指で画面が隠れることがないので今よりも細かい操作が可能になるでしょう。
上図の215がデータ表示画面(LCD)、225がタッチセンシティブ・パネルです。
機器の裏のタッチパネルを指で操作すると、表の画面で指に相当する場所にカーソルが表示されます。指で裏から押すことで文字が入力されます。
脳内イメージで再現してみるとちょっと気持ち悪いですが、慣れてしまえば結構使えそうな感じはします。ただし、1) 機器を持つ方の手の指は機器の縁を持つようにしなければならない(裏面のタッチ・パネルに触れないようにしなければいけない)、2) 手のひらや机の上に機器を置いて使うことができない、3) 機器にジャケット(ケース)が使えないなどの問題がありそうです。特に1)は問題でエルゴノミクス上相当な工夫をしないと機器を落としてしまいそうです(どうせAppleはストラップは付けないでしょうから)。
また、より根本的な話として今のiPhoneより小さいフォームファクターのスマートフォンがそもそも必要かという議論もあるでしょう。iPhoneが今よりも薄く、軽くなるのは歓迎ですが、これ以上縦横サイズが小さくなっても電話として使いにくくなるだけだと思うのですが。
BlackBerryを使っていますと、キーボードが無いサイズも有りかなと思います。その際はこのような仕組みがどうしても必要ではないかと。
BlackBerry自体はキーボードを無くすという選択肢は考えにくいですが、あの画面サイズでも十分にスマートフォンとしては使えると最近思っています。