ソーシャルメディアの使い分けについて

独立してからもう5年目に突入してます。今まで仕事の流れがほとんど途切れることなく順調にやって来られたのはありがたい限りです。

一般に、フリーランスでやっていく上で最大の課題は営業力ではないかと思います。いくらデリバリ能力があっても仕事のパイプラインが埋められないと厳しい状態になります。かと言って専任営業担当を雇うというのは固定費の点で難しいところがあります(弊社では、社外の方に仕事をご紹介いただいて成約に結びつけた場合にはコミッションをお支払いするようにしていますが)。

ここで強力な味方となるのが言うまでもなくブログを初めとするソーシャル・メディアです。自分の場合も退職前にブログの世界でそれなりのプレゼンスを確保できたと感じたからこそ独立への踏ん切りがつけられたと言えるでしょう。はっきり言ってしまうと、現在、大企業に所属している人でソーシャル・メディアをうまく使いこなせていないと思う人は、ずっとそのまま大企業の世界に所属し続けていた方がよいと思います。

ソーシャルメディアにも選択肢が増えてきており、どう使いこなすかが課題となりつつあります。私としては、基本的に以下のように使い分けていこうと思います。

ブログ

当然ながらテックバイザー公式ブログとITmediaオルタナブログは継続していきます(基本的に後者が前者のミラーコピーという位置づけ)。昨年後半は更新が滞り気味だったので、今年はもう少しまじめに書く予定。また、元々はテックバイザーの公式サイトはコミュニティサイト化して、レポートのダウンロードやメルマガを提供する予定だったのですが、全然出来てないですね。時間があれば何とかしたいと思います。

twitter

昨年、あまりブログを書けなかった理由のひとつとして多忙だったことに加えてtwitterばっかりやっていたという点があるかもしれません。やはり、twitterの圧倒的な「敷居の低さ」は魅力です。わりとどーでもよい話ばかりつぶやいていますが、「どーでもよい話」:「シリアスな仕事の話」=80%:20%くらいで維持していきたいと思います(たぶん、ブログだとこの比が逆転して20%:80%くらいでしょうか)。こういうソーシャル・メディア別のシリアス度の使い分けは結構重要だと思います。たとえば現実世界のセールスマン方だって常に仕事の話をしているわけではありません。世間話も重要なコミュニケーションの一部です。カジュアルなお付き合いとシリアスなビジネスの話のバランスをどう取るかというのはソーシャル・メディアでも人対人の直接的なコミュニケーションでも同じだと思います。

LinkedIn

LinkedInはオンライン履歴書みたいな静的サイトと位置づけています。LinkedInをサーチされたことでもらった仕事もいくつかありました。単に情報を書いておけば勝手に仕事がやってくるのですからこんなに効率的な営業ツールはないですね。特に、普段まったくお付き合いがないセグメントのお客様(たとえば、外資金融)からコンタクトをいただけるのはありがたいという他はありません。なお、コネクションは歓迎です(ただし、実際に面識のある方、仕事を一緒にしたことがある方のみお願いします)。

facebook

このブログでも何回か書いているように、米国ではfacebookはビジネスマンの間においてもほぼ常識化しつつあるようです。一応、自分もアカウント持っていますが、いまひとつ使い方がよくわかりません(というより、twitterに加えてfacebookまでやり出すと時間がなくなってしまいます)。フレンドリクエストいただければお答えしますが、実際には休眠状態です。

mixi

mixiは完全に趣味用と位置づけています(個人ブログを外部ブログとして使ってます)。個人的な話ですが今年はジャズ演奏関係に力を入れていきたいのでもう少しヘビーに使っていくかも。

myspace

myspaceもアカウントは持ってますが全然使ってません。今でも音楽系はmyspaceという傾向があると思う(facebookへの流出が続いているようですが)ので音楽系(ジャズ、および、初音ミク打ち込み系)で使っていくかもしれません。

上記以外のソーシャルメディア系サイト(たとえば、tumblr、flickrなど)は、もう全然時間がなくまったく使いこなせていません(このあたりがデジタルネイティブではないつらさでしょうか)。

もちろん、従来型メディア(Web媒体、印刷媒体、書籍)での情報発信も続けていきます。要は使い分けです。

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2010年もがんばります

2009年はいろいろとお世話になりました。ちょっと闇雲に仕事入れすぎでバタバタした年でしたね(ブログもあまり書けませんでした)。2010年はもう少しフォーカスを定めてやっていきたいと思います。

さて、今のところ決まっている仕事の中でオープンにできるものをお知らせしておきます

1月21日(木) オープンソリューション研究会(OSRC)のイベントで話します

昨年、一昨年は基調講演をしてきましたが、今年はデジタルネイティブとソーシャル・コンピューティングにフォーカスした話をします。拙訳『デジタルネイティブが世界を変える』の内容を日本の状況に当てはめて分析しつつ、twitterを初めとするソーシャル・コンピューティングの日本における将来について考えていきたいと思います。なお、これはOSRC会員企業向けのセミナーなので既に会員企業の方は是非。会員企業でない方はこの機会に是非ご検討されてはどうでしょうか?詳細はこちら

2月16日(火) 翔泳社主催 『戦略的データ活用セミナー?ビジネス価値に結びつけるデータ活用・分析?』で特別講演します

詳細はこちら。私はデータ管理とかデータ品質等のかなりファンダメンタルな話をします。実は、今、Harvard Business School Pressから出ているデータ戦略関連の書籍を翻訳しているのですが、このセミナーでアンケートに答えるとその本がもらえるようです(修正:今サイトをみたら進呈ではなく、特別割引販売に変更になっていました。どうもすみません)。ということは今やっている翻訳作業は絶対に遅れが許されないことになりますね(笑)。なお、twitterにてそろそろ写真を変えたらとつぶやかれてしまった(笑)ので、正月明けに写真館に行くことにいたします。

2月18日(木) 翔泳社主催 デベロッパーサミット2010でクラウドのお話しをします(予定)

私は開発現場から抜けてもう10年以上経ってしまっているのでデブサミはやや外様感があるのですががんばります。クラウドにまつわるメガトレンド、4大クラウド事業者の戦略分析、デベロッパーとしての心構えみたいな話をする予定。

3月5日(金) 日本テラデータ主催 Teradata Universeで話します

詳細はこちら。情報爆発に打ち勝つデータウェアハウス戦略のような話をする予定です。たとえば、HadoopとRDBMSの連係の話等々。

それから、これはオープンではないですが、金沢工業大学大学院虎ノ門校でIT要論と知財特論(特許中心)の2コマを担当することになりました。これまたしんどい(笑)。

ということで、2010年のフォーカス分野は

  • クラウド
  • ソーシャル・コンピューティング
  • データ管理
  • 知財(特許・商標中心)

に加えて翻訳関係という感じになりそうです。まあ今後の仕事の状況次第でどうなるかわかりませんが。

本年もよろしくお願いいたします。

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【DreamForce便り】小ネタ集

その1:

10月に東京で行なわれたDreamForceの会場でCMOのKendall Collins氏にインタビューした時に話題に出た、自分自身でSales Cloudを活用しているというChester Frenchというポップデュオですが、なんと、今日の記者向け事例発表ランチオン・ミーティングに登場しました。

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「プロになると決めた時にメジャーレーベルからも声がかかったが、メジャーレーベルと契約しても成功できるバンドは2%に過ぎない。であればレーベルに任せず自分たちでプロモーションするという道を取った。音楽ビジネスはきわめてソーシャルなものだし、ファンとのリレーション管理も重要、しかし、CRMという要素はミュージシャンの世界ではほとんど顧みられてこなかった。このギャップをSales Cloudで埋められると思っている」とのことです。

その2:

会場のモスコーニセンターに行く途中の道でベンダーがプラカードを掲げてたり、チラシを配っていることがよくあります。この人たち、ベニオフの書いた本”Behind the Cloud”の宣伝かと思ったら違いました。プラカードには”Behind the Smoke Screen:? Salesforce.comは1999年のテクノロジーを10年後になっても売り続けている”と書いてあります。Who are You?と単刀直入に聞いたら”We are SugarCRM”ということでしたw 「Salesforceにデータを預けてロックインされるのではなく、SugarCRMを使ってデータを解放しましょう」というチラシを配っています。Salesforce.com社員に見つかったら一悶着ありそうです。まあ、しかし、こういう形で各ベンダーが明確な主張を行なって競合していくことが結局ユーザーのためになるのですけどね。

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参考)ベニオフの著書の表紙

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その3:

展示会会場にあったテスラロードスター(アンケート書くと抽選で1日試乗ができるというこちらではよくあるタイアップ企画)。カッコイイですなあ。日本の自動車メーカーももっとこういう夢のある車を作って欲しいです。

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その4:

基調講演前にバンド演奏(この時歌っていたのが前述のChester French)に合わせて踊り狂うSaaSyとChatty。開始が30分くらい押したので大変だったと思います。

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その5:

大画面にたとえば”Will Your Company Use Chatter?”というような質問が表示され、Twitter経由で寄せられた回答がリアルタイムで表示されていきます。まったくフィルターしてないんでしょうかね?

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その6:

Chatterの機能を反映した会場内の垂れ幕。アプリケーションが「案件がマネージメントにエスカレーションされました」と言うと、女性管理職「柔軟な価格設定をしていい?」、その上司「承認した。一緒に問題を解決しよう」という感じ。こんな簡単にことが運ぶ会社なら楽ですねw(ま、あくまでイメージですので)。

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こちらは「プロジェクト予算超過なう」という感じでしょうかw

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【Dreamforce便り】マーケティングEVPのGeorge Hu氏にインタビュー

Salesforce.com社Marketing EVPのGeogre Hu氏にインタビューしました。以下、抜粋です。

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Chatterなどのソーシャル・コンピューティングの普及により電子メールはなくなると思われますか?:

「近い将来になくなることはないと思いますが、メールからソーシャル・メディアへの移行は必然的な流れだと思います。若い世代はtwitterやfacebookを好んでおり、ほとんどメールを使わない人がいます。企業内の応用で考えてみても、たとえば当社CEOのMarkに一般社員がメールを送るのは躊躇するでしょう。しかし、たとえば、Markが重要顧客担当者のChatterをフォローしてその動きを知るのは容易にできます。明らかに、ソーシャル・メディアはメールと比較して企業内の情報伝達を効率化します。」

Chatterは企業の全社員が使うことを想定しているのですか?:

「はい、その通りです。当社にとって初めての全社向けアプリケーションと言えるでしょう。今までのアプリケーションは顧客と直接対話する社員向けでした。その意味でもChatternには大きな機会があると言えます。」

Chatterのベータテストは始まっているのですか?:

「一部のお客様に機能の説明はしていますがテストはまだ始まっていません。来年の初めにベータテストが開始され、その後に一般向けリリースとなるでしょう。」

ソーシャル・メディアが社内で使用されることにより、内部統制の担当者などが反対することはないでしょうか?

「Chatterは内部統制担当者にも歓迎されると思います。Force.comの基盤機能と統合されていることからセキュリティやプライバシーの設定がそのまま適用されます。社内でtwitterやfacebookをそのままで使っているよりもはるかにコントロールしやすいと言えます。」

本日、CAやbmc softwareとの提携が発表されましたがその意義をどう考えますか?また他のISVとも同様の提携が行なわれるのですか?:

「これらの主要ISVがForce.comへの移植を行なってくれたということは、Force.comがひとつのプラットフォームとしての信頼感を勝ち得た証拠であると思っています。これを契機にして他のISVも同様の動きを取ることを期待しています。」

今後他社も企業向けソーシャル・コンピューティング製品を出してくると思いますが、Chatterの差別化要素はどこにありますか?:

「第一に、Salesforce.comのアプリケーションとの統合がなされている点があります。これによりChatterでの会話を業務と密接に関連したものにできます。第二に、Force.comの基盤上に構築されている点です。これにより、セキュリティなどの一元管理が可能になります。」

様々な質問のほぼすべてにクリアーにお答えいただきました。同氏とは昨年もちょっとお話していますが、一言で言うと顔に「聡明」と書いてあるような如何にも優秀そうな人です。

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【Dreamforce便り】コーポレート戦略担当EVPのKenneth Juster氏にインタビュー

Salesforce.com社EVP of Law, Policy, and Corporate StrategyのKenneth Jsuter氏にグループインタビューしました。内容を抜粋してご紹介します。

KennethJuster

海外でのデータセンター施設について:

「元々は西海岸のデータセンターのみで運用していましたが、災害対策等の観点から東海岸にもデータセンターを置き、相互バックアップの体制でやっているのはご存じかと思います。倍国内にもうひとつデータセンターがありますが、それは開発専用となっています。最初の海外のデータセンターをシンガポールに置きました。次の海外データセンターですが、アジアに置くかヨーロッパに置くか検討中です。次がアジアならその次はヨーロッパ、次がヨーロッパならその次はアジアということになるでしょう。」

日本におけるデータセンター設置について:

「可能性としては常に検討中です。リストのトップにあると言ってよいでしょう。日本は政府関連も含め大規模なユーザーが多いですから。」

データセンターは自社設備になるのか、それとも他社のデータセンターの間借りもあり得るのか:

「それもまた検討中です。財務面や税金面での考慮の上で決まることになります。」(ちなみに、これは私の質問、コーポレートポリシーとして自社施設しか使わないのかという意味で質問しましたがそういうことはないようです。)

海外にデータセンターがあることについてユーザーの懸念があると思うが:

「多くの場合、海外にデータセンターがあることに対するお客様の懸念は法律的な要素ではなく、心理的な要素だと思います。金融業界の規制でデータを社外に置けないケースはあるとは思いますが、たとえば日本の経産省のエコポイント管理システムは当社の国外データセンターで運用されているわけですが、この点が問題になったことはありません。ポイントはデータがどこにあるか、ではなく、どのように管理されているかだと思います。」

中国におけるビジネスについて:

「中国は大きな機会であると同時に大きな課題があります。大きな機会であるのは当然として、課題について言うと、第一にインターネットのアクセスが必ずしも安定しているとは言えません。また、中国政府が中国国内にデータセンターを置くことを要求してくる可能性もあります。もちろん、機会としてはきわめて大きいのですが、現時点で最大の優先順位というわけではありません。」

中国政府の技術開示要求につてはどうか:

「クラウドの場合は関係ありません。」

クラウドでは海賊版のリスクが少ないと思うが:

「おっしゃるとおり、ソフトウェアの海賊版のリスクはきわめて小さいでしょう。しかし、実は、コピーサイトの問題があります。他社のサービスの画面だけを真似して機能的にはまったく劣ったサービスを提供している企業があるようです。」

Juster氏ですが、wikipediaの情報によれば米国政府において外交関係を含み長い経験を積まれているようです。ハーバード・ロー・スクール卒業、ケネディスクールで修士号というすごい経歴ですが、とても和やかな雰囲気でインタビューできました。やはり、グローバル企業にはこういう人材も重要なのだと感じました。

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