iTunes in the Cloudについて

Appleが日本においてもiTunes in the Cloudのサービスを開始した(参考記事)ことで、本ブログの過去記事「iTunes on Cloudは日本で展開可能なのか(著作権法的な意味で)」へのアクセスが増えています。この過去記事は2011年1月24日時点でiTunesのクラウド対応機能の予測記事に基づいて書いたものであり、実際に開始されたサービスとはちょっと事情が違っていますのでここで追加説明をしておきます。

日本で開始されたiTunes in the Cloudのサービスは利用者がiTunesで買った楽曲をiCloud上において複数のデバイスに同期できるというものです。ここで必要なのは権利者(具体的にはJASRACと原盤権者(典型的にはレコード会社))の許諾であって、法律の解釈はあまり関係ありません。権利者がOKと言えば合法ですし、NGと言えば違法です。

過去記事で問題にしていたのはユーザーが手持ちのCDをリップして(PCローカルのiTunesライブラリに置くのと同様に)クラウド上のiTunesライブラリにアップロードして手持ちのデバイスにダウンロード(あるいはストリーム)で視聴する形態でした。この形態は、日本の著作権法30条に定められた私的利用目的複製として一見合法ぽいですが、「MYUTA」、「まねきTV」、「ロクラク」等の判決で積み重なってきたネットサービスにおけるカラオケ法理の考え方に基づけば(別途権利者の許諾がない限り)違法となる可能性が高そうです。そして、今回日本で開始されたiTunes in the Cloudのサービスにはこの機能は入っていません。

問題となりそうなのは既に米国ではサービス開始されているiTunes Matchのサービスの方です(日本での同サービス開始については発表されていません(追記:日本でも今年後半開始予定との報道がありました))。こちらは、ユーザーのPCにiTunesで販売しているのと同じ楽曲があれば、聴く権利があるはずだとしてiCloud上のライブラリに追加してくれるサービスです。もし日本でITunes Matchを展開したら著作権法的にどうなるのかは微妙ですが、私的利用目的複製と解釈するのはちょっと難しいので、別途、権利者の許諾が必要になるような気がします。そもそも、iTunes Matchは有料サービスなので権利者にライセンス料を支払うことで許諾をもらい方式であって、私的利用目的(米国ですとHome Recording)なので権利者の権利が制限されるという扱いにはならないのではと思います。

というわけで、iTunes in the Cloudについては一部の権利者の許諾が得られる得られないでもめることはあっても、著作権法の解釈面でもめるということはなさそうに思えます。

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