Dreamforce2010の二日目基調講演は開発プラットフォーム中心です。
まずは、おそらく今回のDreamforceにおける最大のニュース、RubyベースのPaaS提供/開発会社Herokuの買収合意の発表です。と言いつつ、この件がアナウンスされた時の会場の反応はイマイチでした。デベロッパー以外の人にとっては、インパクトがすぐに理解しにくいのかもしれません。
会場前席に着席しているHerokuのデベロッパーの方々が起立。そんなに大人数のチームというわけではありません。高額(2億ドル)の買収でホクホクなのではないでしょうか?
ところで、Herokuの読み方ですが、同社のサイトでは”her-OH-koo”と読むと書いてあります。実際には人によって「ヘロク」ぽかったり「ハロク」ぽかったりしてました(ただし、いずれも「ロ」にアクセント)。日経コンの中田記者(Nakada_itpro@twitter)によれば「日本語ぽい言葉をわざわざ作ったのを尊重して『ヘロク』と呼びたい」ということなので、日本語標準表記は「ヘロク」でいいんじゃないでしょうか(ただし、「ロ」にアクセントを置かないとたぶん米国人には通じません)。ところで、Rubyという日本起源のプログラミング言語がグローバルに注目を集めるのは喜ばしいことですね(日本起源ですというような話はここでは出なかったですが)。
デベロッパー(コミュニティ)を押さえるのはプラットフォーム成功の鉄則(マイクロソフトもそれで成功した)なので、クラウド・プラットフォームの勢力図が確定していない現時点でいろいろと押さえておくのはきわめて重要だと思います。昼食時の記者向けQ&Aセッションでも「正味30名程度の会社に2億ドル出すのは高すぎるのでは?」というような質問が出ていましたが、Salesforce.com社CTOであるParker Harris氏の回答は「長期的戦略の一環として考えているので長い目で見て欲しい」というものでした。
次は、BMC SoftwareとのアライアンスによるRemedyCloudの発表、BMC社のIT構成管理ソフトウェアをクラウド化したソリューションです。個人的に注目したいのはChatterとの統合、リアルタイムで例外処理を扱うことが多いシステム管理系ソフトとChatterはベスト・マッチではないかと思います。ビジネス・コミュニケーションとアラート監視をうまく融合できるのではないでしょうか?
さらに、発表はForce.com系と続きます。Force.com 2というそのまんまの名称になりました。新機能としては一般的Webサイト向けCMSのSiteForceが提供されました。また、アプリケーション開発用のAppForce、そして、ISVソフトウェア展開のためのISVforceも発表されましたが、これはリブランディングに近いように思えました(詳細は後日補充)。また、既に発表済みのVMforceはプライベートベータ段階となりました。
Force.com 2部分の担当はプラットフォームとマーケティング担当EVPのGeorge Hu氏、オーラがあります。出世街道まっしぐらという感じです。
本日基調講演を通じて、Salesforce.com社が開発プラットフォームとしてのクラウド戦略を着実に進めていることを感じました。
なお、夕方にはビル・クリントン元大統領の講演があるのですが、これは録音・撮影はおろか、記事に書くことすらもNGということなので残念ながらブログには書けません