【Dreamforce便り】コーポレート戦略担当EVPのKenneth Juster氏にインタビュー

Salesforce.com社EVP of Law, Policy, and Corporate StrategyのKenneth Jsuter氏にグループインタビューしました。内容を抜粋してご紹介します。

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海外でのデータセンター施設について:

「元々は西海岸のデータセンターのみで運用していましたが、災害対策等の観点から東海岸にもデータセンターを置き、相互バックアップの体制でやっているのはご存じかと思います。倍国内にもうひとつデータセンターがありますが、それは開発専用となっています。最初の海外のデータセンターをシンガポールに置きました。次の海外データセンターですが、アジアに置くかヨーロッパに置くか検討中です。次がアジアならその次はヨーロッパ、次がヨーロッパならその次はアジアということになるでしょう。」

日本におけるデータセンター設置について:

「可能性としては常に検討中です。リストのトップにあると言ってよいでしょう。日本は政府関連も含め大規模なユーザーが多いですから。」

データセンターは自社設備になるのか、それとも他社のデータセンターの間借りもあり得るのか:

「それもまた検討中です。財務面や税金面での考慮の上で決まることになります。」(ちなみに、これは私の質問、コーポレートポリシーとして自社施設しか使わないのかという意味で質問しましたがそういうことはないようです。)

海外にデータセンターがあることについてユーザーの懸念があると思うが:

「多くの場合、海外にデータセンターがあることに対するお客様の懸念は法律的な要素ではなく、心理的な要素だと思います。金融業界の規制でデータを社外に置けないケースはあるとは思いますが、たとえば日本の経産省のエコポイント管理システムは当社の国外データセンターで運用されているわけですが、この点が問題になったことはありません。ポイントはデータがどこにあるか、ではなく、どのように管理されているかだと思います。」

中国におけるビジネスについて:

「中国は大きな機会であると同時に大きな課題があります。大きな機会であるのは当然として、課題について言うと、第一にインターネットのアクセスが必ずしも安定しているとは言えません。また、中国政府が中国国内にデータセンターを置くことを要求してくる可能性もあります。もちろん、機会としてはきわめて大きいのですが、現時点で最大の優先順位というわけではありません。」

中国政府の技術開示要求につてはどうか:

「クラウドの場合は関係ありません。」

クラウドでは海賊版のリスクが少ないと思うが:

「おっしゃるとおり、ソフトウェアの海賊版のリスクはきわめて小さいでしょう。しかし、実は、コピーサイトの問題があります。他社のサービスの画面だけを真似して機能的にはまったく劣ったサービスを提供している企業があるようです。」

Juster氏ですが、wikipediaの情報によれば米国政府において外交関係を含み長い経験を積まれているようです。ハーバード・ロー・スクール卒業、ケネディスクールで修士号というすごい経歴ですが、とても和やかな雰囲気でインタビューできました。やはり、グローバル企業にはこういう人材も重要なのだと感じました。

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【DreamForce便り1】アプリケーション基盤と統合された新コラボレーション機能Chatter

Salesforce.com社のイベントDreamforce 09に来ています。

今回の発表の目玉は、Salesforce Chatter、要は企業内Twitterのような機能ですが単なる独立アプリケーションではなく、Service Cloud、Sales Cloudなどのアプリケーション機能と完全に統合されているのがポイントです。

メインフレーム・コンピューティング → クラサバ → クラウドとコンピューティング基盤が発展してきたように、コラボレーションの世界も ワークグループ → イントラネット → ソーシャルコンピューティングと発展してきた。facebookやtwitterで実現されている世界がなぜ企業の世界で実現できないのか、facebook上のフレンドのことはよく知っているのに、同じ会社の人のことはあまり知らないのはなぜなのかとベニオフ氏は吠えます主張します。

そして、Salesforce Chatterはfacebookやtwitterのマジックを企業内に持ち込み、今までバラバラだったコンテンツ、アプリケーション、コラボレーションの世界を一体化することを目的としています。

Chatterのデモでは、人間同士がChatterを使ってtwitter的な会話している途中で、アプリケーションからのアラート(たとえば、「案件xxxに競合他社が介入したとの情報が入りました」)などが同じTL上に表示されます。アプリケーションがボットとして動いて、イベントをメッセージとして吐いていると考えればよいでしょうか。

社外のtwitterとも連携が取れます。前述のとおり、Chatterは単なるアプリケーションではなく基盤機能なのでSaleseforce.comのプラットフォーム上のネイティブ・アプリケーションは自動的にChatter対応になります。利用開式時期は2010年初め。

エンタープライズ・コンピューティングとソーシャル・コンピューティングの融合についてはしばらく前からいろいろ議論されていましたが、なかなかイメージがつかみにくかったと思います。今回の発表でその具体的姿がわかってきた気がします。

アプリケーションもアクターとして会話に参加する。アプリケーション間でやり取りされるイベントも人間同士の会話におけるメッセージも同格に扱われる。すべてがリアルタイム、イベントドリブンでダイナミックに進んでいくという感じでしょうか。これはかなり大きなテーマだと思います。今後もこれからいろいろリサーチしていきたいと思います。

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あいかわらずパワフルなベニオフCEO、今回も1時間くらい時間が押して後半めちゃくちゃ早口になっていました。Join The Conversationが新しいキャッチフレーズ。

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会場もヒートアップしてきたようなのでちょっと照明も変えようかということで赤くなりました。よくわかりません。

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TwitterのBoard of DirectorメンバーJason Goldman氏も登場。Twitterとは完全に棲み分け路線です(まあ当然ですが)。

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ところで、来場者全員に配られたエコバッグ。twitterの文字が大きいことからスポンサーとして結構な支援をしていることがわかります。

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SaaSy(左)に次ぐ新たなキャラクターChatty(右)、何かどこかで見たような感じです。

(続く)

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【お知らせ】シンクライアントについて講演します

株式会社アクシオ主催のシンクライアントセミナーで講演します。11/4(東京)と11/11(大阪)の2回。入場無料(要事前申込)。詳細はこちらです。

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【お知らせ】ITpro EXPO 2009のBIフォーラムで講演します

直前の告知になってしまいましたが、東京ビッグサイトで開催されるITpro EXPO 2009のBIフォーラムで10/29(木)の11:00から基調講演します。詳細はこちら。受講は無料です。一応事前申込みが必要みたいです。

最近はプライベート・セミナーの仕事が多くなってきており、ブログで告知できるものが少ないですが講演の仕事は定期的にやっております。

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【Teradata PARTNERS便り】進化するeBayのAnalytics on Demand

eBayによるセッションをもうひとつ聴講しました。昨年に引き続き、eBayのデータウェアハウス・オペレーション/アーキテクチャー責任者であるOliver Rotzesberger氏の講演(昨年の講演内容の記事)です。

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この講演のポイントは”Analytics on Demand”(別名 Analytics-as-a-Service)、つまり、社内の分析担当者の要求に応えて迅速に環境を用意できる仕組み作りです。

通常、このような仕組みを実現するためには、別途サーバを立ててデータマートを作ることになりますが、このようなアプローチではサーバ/DBMSの導入・設定やデータのコピーに時間がかかりすぎること、そして、データ管理の負担、データ不整合のリスクが高すぎることから、データウェアハウス内にテーブルとして仮想データマートをダイナミックに構築する仕組みを開発しています。

分析担当者の定義済テンプレートを使ったセルフサービス操作により、5分でデータマートの分析環境が利用可能になるそうです。

なお、このプロビジョニングの仕組みは、eBayとTeradataの共同開発によるもので、今回Teradataが発表したクラウド・ソリューションの一部として提供されます。プライベート・クラウド・ソリューションとは言っても「仮想化+イントラネット」とどこが違うんだというケースもある中で、Teradataはクラウドとしての付加価値を一応ちゃんと提供しています。

ところで、eBayのデータウェアハウスのサイズは5ペタバイト(Active-Active構成なので実質2.5ペタバイト)に達しているわけですが、ここまでに至った経緯については、「1999年にTeradataで1テラバイトのデータウェアハウスを構築し、その後、ノードを追加して、年率2倍強のペースで拡大して現在に至った」とのことです。成功したデータウェアハウスは年率2倍程度で拡大していくこともあるというのが経験則として知られていますが、まさにそのパターンに当てはまっています。さらに言えば、ノードの追加だけで1TB→5PB(5000倍)への拡張を可能とするTeradataのスケーラビリティも賞賛に値します(この製品はxxxPBまで拡張可能(理論的には)というような製品は多いですが、現実の企業の本番システムでこれほどのレベルの拡張性を実現したシステムはさほど多くないのではと思います)。

Teradataというと金融系とかのお堅いエンタープライズ系という一般的イメージがあるかもしれませんが、eBayだけではなくAmazon.comもTeradataを採用しているようで、米国の大規模ネットサービス企業のデータウェアハウスとして実は定番的な存在のようです。

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