アメリカのまねきTV?:Aereoに対するTV局の仮差止請求が却下

CNET Japanに「”Aereo”番組再配信の仮差し止めを求めるテレビ局各社の要請、控訴裁判所でも却下」なんて記事が出てました。最近、この分野をあまりフォローしてなかったのですが、Aereoは、TV番組をインターネット上でストリーミングしてスマホやタブレットで見られるようにするサービスを提供している企業です。

AereoのWebサイトおよびWikipediaのエントリーを見ると仕組みがわかります。地上波を受信できるコインサイズの超小型アンテナ(写真参照)数千個をデータセンターにおいてそのひとつひとつを顧客にリースします。そして、ユーザーは自分のアンテナで放送波を受信して自分のスマホなりタブレットにストリーミングするという仕組みのようです。自分のアンテナで受信しているのでどの機器で見ようが録画しようが勝手であるという理屈です。

今は亡きまねきTVに似ています。ただし、Aereoは放送区域外の端末では使えないという縛りをかけています(現在はニューヨーク市でのみ提供、他の米国内主要都市にも拡大予定)。地域的な縛りをかけているのは放送局の利益を害していないのでフェアユースであるとの主張を行なうためかもしれません。

このサービスはユーザーには高く評価されている(たとえば、Wall Street Journalのレビュー記事)のですが、容易に予測されるように全メジャー局は著作権侵害を主張してAereoを訴えました。日本の司法の解釈ですと、個人所有の機器であっても、アンテナをつないだ人(業者)が送信可能化を行なっているので公衆送信権侵害ということになってしまいそうですが、米国では素直に自分の所有機器から自分所有の機器へとストリーミングしているだけなので、”public performance”(公衆送信)ではなく、著作権侵害ではないとの判断がニューヨーク地裁でなされています。今回のニュースは、この判断に連邦巡回区控訴裁判所(日本の知財高裁に相当)も同意したということです。

なお、TV局側の仮差止請求が却下されただけの話であって、Aereoが合法であると最終的に認定されたわけではありません。

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